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札幌高等裁判所 昭和51年(ラ)118号 決定

抗告人

甲野太郎

主文

本件抗告を却下する。

理由

一本件抗告の趣旨及び理由は、別紙記載のとおりである。

二よつて審案するに、非訟事件手続法二〇七条三項は、過料の裁判に対する抗告権者として「当事者」を規定しているが、右にいう「当事者」とは過料の裁判における被審人であつて、しかも過料の裁判によつて権利を侵害されたものをいうものと解すべきところ(非訟事件手続法二〇条一項)、記録によれば、抗告人は本件商法違反過料事件について不処罰の決定を受けた者であるに過ぎず、右決定によつて権利を侵害されたものでないことが明らかであるから、抗告人は原決定に対して抗告権を有しない者である。

よつて、本件抗告は抗告権を有しない者の抗告であるから不適法として却下することとし、主文のとおり決定する。

(宮崎富哉 塩崎勤 村田達生)

【抗告の趣旨】 原決定を取消す。

抗告人は処罰しない。

旨の違反事実および理由を付した裁判を求める。

【抗告の理由】 一、抗告人を処罰しない旨の裁判自体については、不服はない。

二、非訟事件手続法第二〇七条一項によれば、過料の裁判には理由を付すことになつているところ、前記決定によつては不処罰の理由が示されていないばかりか、「本件」とあるのみで、違反事件がいかなる事実か示されておらず結局不処罰となつた範囲、すなわち、何がどうして不処罰なのか、が全く示されていない。

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